サイザルバッグと見捨てられたグループ・後篇~炎天下の染色~





 

先週のつづき。

農村部の女性グループと一緒に、新しくサイザルバッグ作りを始めよう!

そう意気込んで、始まった新たなプロジェクト。

女性たちと意気投合し、僕たちは具体的なサイザルバスケット作りに入りました。

 

まずはオーダーするサイザルバッグの打ち合わせから。

僕たちが決めたデザインを一つずつ説明していきます。

 

まず大事なことは、きちんと絵を書いて説明すること。

口頭で説明して細かなデザインを伝えることはなかなか困難です。

似たような写真を見せることでイメージはしやすくなりますが、

部分的に色やデザインを変えて!っとお願いすると、

これまた認識にズレが生じることが多々発生します。

 

なので、デザインや大きさを説明する時は、

必ず色鉛筆で一つずつスケッチして、

お互いのイメージを共有する工夫をしています。

 

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打ち合わせが終わると次は染色です。

ケニア人スタッフのマウロと僕が中心となって行いますが、

素材調達の関係もあり、染色は彼女たちの村まで訪問して行います。

 

これがまた大変です。

電気もガスも水も当然ありません。

むしろ日陰すらありません。

炎天下の中の染色が始まります。

 

まずは近くから水を運んできます。

染色では多くの水を使う為、何往復もする必要があります。

 

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次に染色する為の鍋と焚き木を用意します。

彼女たちが用意する鍋が汚れていることが多いので、

まず鍋の洗浄が必要です。。。

 

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後は焚き木に火を付け、水が沸騰をするのをしばらく待ちます。

 

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僕らがこの作業をしている間、彼女たちの仕事は素材の選り分けです。

オーダーしたサイザルバッグのデザインと大きさから、各色必要な量を分けていきます。

こちらの準備が整ったので、彼女たちの様子を見に行きました。

 

待て。

何かおかしい。

 

そこにはまさかの光景が広がっていました。

 

撚り分けてはくれていましたが、素材の量があきらかに少ない。

事前に大きさも数も伝えて、素材の用意もお願いしていました。

そして染色の日も彼女たちが用意したという連絡を受けて決めました。

 

しかし、・・・

まったく足りてない・・・。

 

たずねてみると必要分の半分程度しかないとのこと。

この現状に彼女たちは笑ってごまかし、マウロは困った様子。

一度大きく深呼吸をし、とりあえず今日はある分を全て染めよう!

気持ちを切り替えて、染色を始めました。

 

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ケニアなど途上国でビジネスをする以上、当然といえば当然なのですが、

プランやスケジュールを立ててもその通りに進むことは稀です。

特に新しいことを試みるのなら、なおさらです。

予期せぬトラブルや新たな課題が、次から次へと現れます。

 

道のりの果てしなさに、脱力感を味わうことも多々ありますが、

そんな時は目をつむって深呼吸。

頭をスッキリしたあと、次の一手を考えます。

そんな毎日です。

 

僕の肌がこんがり焼けた頃、染色が無事終わりました。

素材の不足など問題はありましたが、いい色合いが出せたと思います。

 

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スワヒリ語には「ポレポレ」という言葉があります。

「まぁゆっくりやろうよ」みたいな意味です。

ケニアの広大な自然によく合った好きな言葉の一つですが、

常に「ポレポレ」では物事は進みません(笑)。

現地の人たちとコミュニケーションを取りながら、

時には「脱ポレポレ」をお願いすることも必要です。

 

長い長い道のりですが、サイザルバッグ作りも急がば回れで進めていこうと思います。

 

(生産担当:横山)

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【年末のご挨拶】
気が付けば、2014年ももうすぐ終わりにですね。
みなさんはどの様な一年でしたか?

私たちにとってこの1年は、「毎日大きな変化が起きる!」そんな激動の日々でした。
ケニア工房を立ち上げ、生産体制を整えてきました。
そして現在、ケニア人スタッフの人数も7名まで増えました。

この一年走り続けて来られたのは、ひとえに多くの方々の支えがあったからです。
ここケニアから、そして遠く日本から、多くのご支援・ご協力をいただきました。
本当にありがとうございました。

来年が皆様にとって素敵な1年になりますよう祈っております。
みなさま、よいお年をお迎えください。

ケニア工房生産担当スタッフ一同より

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