クリスマス~食べて、祈って、これ買って…?





12月。

街中がライトアップされ、手袋をはめてホットチョコレートを飲みながら、粉雪の降る夜空を見上げる恋人たち。ああ、美しき愛のクリスマスよ。

 

時を同じくして、ここマチャコス。

街はいつものように牛とヤギが闊歩し、工房で汚れた手のままチャイを飲みながら、灼熱の太陽に照らされて体力を奪われる私。ああ、忙しき疲労のクリスマスよ…。

 

イギリス植民地時代に西洋文化が入って以来、ケニアではキリスト教の影響が随所に感じられ、多くのケニア国民にとって、今やクリスマスは切っても切り離せない日となっています。

 

ラジオからはクリスマスソングが、スーパーの買って当てようホリデーキャンペーンの大賞には牛が。ローカルにカスタマイズされながらも、「クリスマス」が連れてくるそのウキウキ感は世界共通のようです。

 

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(クリスマスの節約術を紹介した記事。経済発展の証か。)

 しかし、昔はチャパティとチキンがごちそうで、家族や近所の人とクリスマスキャロルを歌って幸せだったはずが、高度成長と共にクリスマスの祝い方はより欧米化、商業化され、プレゼント、旅行、パーティー…と、何せお金がメニー・カカリマス…。これもまた世界共通のようです。

 

「マリーナは教会に行くの?」

 

クリスマスが近づいた頃、織り子の一人、ウィンフレッドが尋ねてきました。

「私はクリスチャンではないから、教会では祝わないかな…」

 

ウィンフレッドは目を丸くしながら、「教会に行かなかったら誰がお説教するの? 誰の言うことを聞くの? え? ジーザスでしょ!?」

 

お説教…。うーん、自分へのダメ出しだったら毎日してる。

誰の言うこと…。うーん、自分の声には耳を傾けるようにしてる。

 

なんて言っても、ウィンフレッドには通用しません。

ウィンフレッドは聖書の一部を引用しながら、私に教会へ行き、祈るよう勧めました。彼女は敬虔なクリスチャンなんだと思い、日本育ちのクリスマスの感覚でしかモノを言えない私は、何だか少し立場のないような気持ちが湧き、聖書を開いて祈る、それもいいかもなあと思いながら、熱く語る彼女の話を聞いていました。

 

「それはさておき、お給料はクリスマス前にほしいわ~。それに、私たちには何をくれるの? クリスマスよ!!」

ねだりながら笑うウィンフレッド…。ジーザスはどこ行っちゃったの?? 

 

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(牛もヤギも当たる!!)

 

マチャコスの片田舎でも、ツリーの下のプレゼントの山は、クリスマスのシンボルとして機能し、それがゆえに、スーパーではクリスマスセールで品物が安くなり、そしてその手にまんまとはまった私は、スタッフみんなへのプレゼントを買ったのでした。

 

クリスマス。

ツリーもない。きらびやかなイルミネーションもない。

そんな街と私の心に明かりを灯したのは、ケニアの夜空に輝く大粒の星たちでした。

 

(生産担当:マリナ)