ケニアの恋愛事情~明日はバレンタインデー





「ヘーイみんな、おはよう!今日はバレンタインデーに向けて恋愛相談を待ってるぜ!」

 

ケニアの有名なラジオパーソナリティー、マイナ・カゲニ(Maina Kageni)の軽快な声と共に、ラジオ局にはリスナーからの電話が鳴り続けています。

 

「バレンタインデー前に彼と別れてしまったの。どうしたらいい?」

「じゃあ、彼氏募集する? リスナーのみなさん、22歳のこの彼女に興味がある人は電話を!」

 

この彼女にはボーイフレンドができたかしら…?

 

「バレンタインだってみんな騒ぐけど、僕は毎日がバレンタインデーであるべきだと思う。愛ってそういうものだよ。」

 

カッコイイ。

私、この男性に応募してもいいかしら?

 

バレンタインデーを明日に控え、ケニアも心なしかいつもよりラブモード。

ナイロビの高級ホテルでは1泊300万円(!)もするスペシャルナイト「ダイヤモンドの夜」が売れ、レストランでは愛のディナー、お店のケーキもお花も赤一色。日本のそれと大差なく、スーパーでも若い女の子がカード選びに夢中です。

 

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ラジオしかり新聞しかり、ケニアは恋愛に関する話題が大好き。

土曜日の新聞なんて、恋愛相談、結婚、別れ、こんなことまで書いちゃう?という色恋沙汰や、「浮気相手としての心得」なんていうアドバイスまで。

 

工房で仕事が終わった後、ランチを食べながらこの土曜日の新聞を読むのが、私の秘かな週末の楽しみ。

 

しかし、ミーハー精神でおもしろがっていた記事も、読み続けていくと、だんだんとそれらがケニアの社会状況、価値観、家族観を色濃く反映しているものであるという発見と深い関心が湧いてきます。

 

パートナー探しの投稿では、相手の条件に、子連れか否か、HIV陰性であるか、クリスチャンであることなどかなり明確に記されており、日本以上にHIV/AIDSが身近な病気であることや、シングルペアレントー未婚・離婚・死別を問わず、非常に多いことも見受けられます。

 

比較的結婚年齢の早いケニアでは、次のパートナーを探すシングルペアレントは多く、私がケニアに来て1か月ほどホームステイした先もシングルマザーの家庭、そこで働くお手伝いさんもシングルマザーでした。どちらも子どもの父親について語ることはありませんでしたが、必ずしも望んだ妊娠だったわけではないと察することもありました。

 

そして望まない妊娠は、悲しいほどに多い女性への性暴力事件からも想像に難くなく、またそれに伴うHIV感染リスクの高まりも否定できません。

 

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ユーモアと鋭い指摘が人気のコラムでは「既婚男性との付き合い方」が伝授され、それくらい(男性の)浮気は「当たり前」感があるよう。これは小耳に挟む周囲のメンズトークからも実証済。

スワヒリ語で浮気相手は「Mpango wa kando」=「もう片方のプラン」と呼ばれ、現場は片方どころではない場合もあるようです(あ、言っちゃった)。

 

慣習的に一夫多妻が許容されていることが、浮気の土壌を作りやすくしているのかなとか、女性が軽視されやすい社会背景があるからかなと想像してみましたが、きっとこれはどこででも起こる永遠の問い。ハムレットなら、こう問うただろうか。To love or not to love, that is the question…

 

さあ、明日はバレンタインデー。

本気か浮気か、巷ではさぞや愛が語られ、ラブラブな日となるでしょう。

 

私? 

もちろん、ランチのお供に土曜日の恋愛コーナーを読みつくしますわ。今日はどんな恋愛模様が繰り広げられているのかしらん、と。

 

(生産担当:マリナ)