ケニアから日本へ、サイザルバッグ、空を飛ぶ





当たり前のことですが、生産現場ケニアなら、製品は海を越えねばなりません。

夏最後のサイザルバッグの販売に向けて、工房では輸送に向けての作業が始まりました。

 

サイザルバッグにブックカバー

気をつかうのは「毛羽」。

 

天然の繊維を使用している以上、毛羽は特性。

しかし商品となると、この毛羽を取ることで魅力が増したり使いやすくなるため、バッグの生産をお願いするグループには、毛羽取り作業を終えて納品してもらうようにしています。

 

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とある日、バッグを納品しにやってきたグループのリーダー、ペニーナさん。

袋を開けると…

 

バー!!!

 

質を維持するためのガイドライン、買取基準も説明しているのですが、どうも私たちが意識するほどには作り手さんに伝わっていないようでした。

 

うーん、それにしても、ケバすぎる。

 

一度持って帰って毛羽を取ってきてくれば正当な値段で買い取れるのですが、大量の納品であるがゆえ、遠路遥々やってきたペニーナさんにとっては、持って帰るのも一苦労。

 

「次回は毛羽を取ってきてくださいね。」

「みんなに伝えるわ。」

 

そう言って、私たちは毛羽つきバッグを工房に持ち帰りました。

 

1か月後。

 

ペニーナさんは前回より重そうな袋を抱え、待ち合わせ場所にやってきました。

袋を開けると…

 

バー!!!

 

またあ!?!?

 

何でだろう…。

口が酸っぱくして言ってきたのに、見事なケバ。

 

ペニーナさんが頭を抱えました。

いやいや、袋に詰めるとき見てたよね?

頭抱えたいのはこっちなんですけど…。

 

もう梅干し食べてるくらい口が酸っぱいんだけど、もう一度言いますよ、ペニーナさん。

次回こそは、毛羽を取って…ね!!!

 

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(この毛羽を100個近く処理)

 

輸送まであと5日。

この毛羽を取らねば。

でも工房スタッフの仕事の手を止めるわけにもいかない。

単純作業な割に意外に時間がかかるこの作業。

 

どうするマリナ!

 

つってもね、人がいないわけです。

 

とりあえず、臨時日雇いでアルバイトさんを呼び、工房スタッフは交代しながら、そして私も糸きりばさみを片手に、一斉に毛羽取り大作戦、スタート!

 

加工のチェックをするときも、となりのおじさんと話すときも、新しい製品の試作をするときも、右手にはさみ。

 

ジョニー・デップも驚く、『シザーハンズ』状態。

そしてチョキチョキしすぎて軽い腱鞘炎。

 

工房の床はあっという間に毛羽絨毯となり、そしてあっという間に輸送の日が!

 

何とかパッキング作業も終え、空港の貨物ターミナルへ。

過去数回、入り口で必ず警察官に止められ、なんやかんやといちゃもんをつけてはお金をとろうとされた経験から、今回は空港なら任せとけの友人デイビッドの力を借り、ズルポリス対策もバッチリ。

 

「やあやあ、僕が荷物を運ぶんですよ。あ、この日本人?僕のワイフ。」

 

ワイフ?

あたしゃいつからあんたのワイフになったんだ?

その疑問も2秒で解消、おかげでするっと通ることができました。

ありがとよ、ハズバンド!

 

貨物ターミナルの入場に必要なベストを借りて、車から荷物を下ろし、おし、これでOK!

 

「やー、一杯詰めたね。重いよ!」

 

荷物運びに手を貸してくれたハズバンド・デイビッド。

ねえ、そのベスト、何か、小さくねーかい…??

大きくなった小学生がランドセル背負ってるみたいだよ。

 

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ケニアのあらゆるところからやってきた製品は、このターミナルから国外へと飛んでいきます。私たちのサイザルバッグは、今ごろ海を超え、日本に向かっているかな。

 

7月半ばにはお目見えできますよう。あとは無事到着することを祈るばかりです。

 

(生産担当:マリナ)