ケニア横断、お隣ウガンダいざゆかん!~後編





朝からさんさんと太陽が降り注ぐウガンダの首都カンパラ

気持ちよく目覚めた私は、ウガンダ名物のあるものを探して朝の住宅街を歩いていました。

 

坂を下り、小さなマーケットまでの道の途中、ありました、ありました。

 

チャパティ(薄焼きのパン)がすでに30枚は重ねられたその小さなスタンドに行くと、何も言わないのに作り始めるお兄ちゃん。熱々の鉄板にたっぷりの油を敷いてオムレツを焼き、それをチャパティで巻き上げる。これがウガンダに来たら絶対に食べたい庶民の定番「ロレックス」。

 

f:id:amberhour:20150801005637j:plain

 

ロールドエッグズ(巻かれた卵)がなまってこう呼ばれるようになったとか。

かの有名なうん百万のロレックスとは違い、お財布に優しい40円で、朝のエネルギー補給は完了。午後は空港のある街エンテベで、ウガンダ最後の夜を過ごすことにしました。

 

f:id:amberhour:20150801005652j:plain

 

ミニバスに乗り込み、エンテベで降りたい旨を伝えると、降ろされたところはただの十字路。

 

ぽつーん。

全然街っぽくないんですけど…。

 

十字路の角にいたバイクタクシーのおじさんに住所を見せると、おー知ってるぜと、私は初日に学んだ1000シリング単位の値切り交渉を使い、無事宿へと到着。

 

「マリナね、ようこそ!」

 

オーナーは私が到着するなり名前で呼んでくれました。緑に囲まれたロッジ風のメインダイニングは、高い天井を茅葺き屋根が覆い、木のぬくもり漂う優しい造り。

オーナーのその女性は、今日は誕生日パーティーがあるとのことで、準備に追われているようでした。

 

誕生日パーティーか。

いいのよ、いいのだけど、すでにノリノリの音楽がなかなかの爆音でかかっているお庭。

静かに過ごそうとした私の計画は外れたな…。

 

ま、でも私も次の日誕生日だし、この際お祝い気分でいいか。

 

「マリナ、あなたも誕生日なのね!夜までパーティーは続くし、せっかく来てくれたから、部屋をアップグレードするわ。」

 

突然のオファー。

 

来たーっ!

初日からつきまくっている、ウガンダの神!

 

オーナーの心優しい計らいにより、私は大の字で眠れるベッドとここでも寝られそうなバスルームを一人で贅沢に使えることに!何てうれしい誕生日プレゼント!

 

ルンルン気分で荷物を置き、お庭の様子を眺めていると、パーティーの主催者が到着しました。私が日本から来たことを知ると、北九州に駐在経験がある妹に続き、元彼女が日本人という兄が妙に喜び、ウガンダ兄妹と話が盛り上がりました。

 

「ヘーイ、君はビール飲む? 何が好み?」

 

これはもしや…。

 

「遠慮せず、好きなもの頼んで。」

 

来たーっ!

アップグレードに続き、今度はビールの神!

 

まさか見知らぬ人からおごってもらえるなんて。

いや~、申し訳ないわ~、じゃあ、遠慮なく、冷えたの1本!

 

ついてるなあ。これも普段の行いが良いからかしらん。

 

私はありがたく、おいしく500mlを流し込んだ後、ゆっくり過ごす計画を実行するため、ビクトリア湖畔へと歩いていきました。

 

 f:id:amberhour:20150801010116j:plain

 

道にはジャックフルーツがたわわに実り、お決まりのロレックスが売られるスタンドが並ぶ、小さな小さな湖岸の街。観光客一人いないその街で、古びた木のボートでお客さんを待つ商人たちは暇そうで、でもどこか幸せそうに仲間同士でおしゃべりをしています。

 

私は湖に面した誰もいないレストランの庭に座り込み、水の音に耳を澄まし、時より通る飛行機を見上げながら、毎日の工房生活で身についてしまった「仕事脳」を振り払い、肩の荷を降ろしました。

 

途上国支援という立派な目的でアフリカにかかわる人たちはたくさんいます。

インフラの未整備、職の少なさ、汚職の蔓延、確かに基本的生活を維持するのさえ難しい状況にある人もたくさんいます。それでも私は、ケニアにいてもウガンダに来ても、同じようなことを感じてしまうのです。本当に途上国なのか、と。

 f:id:amberhour:20150801005554j:plain

 

経済は数字でしかその成長を測ることができない、そういう切り口においては「途上」かもしれません。でも、人とのつながりや身近なものに当たり前の幸せを見い出す人間の本質的な生き方においては、私なんかの方がずっと途上のように思います。

 

成功や改革というな「装飾品」から身を放し、「コト」ではなく「在り方」そのもので勝負する潔さ。

 

これを、「生きる証」というのかもしれません。

自分自身に対して残す、生きた証。

貯金の残高や大きな家、どれだけ利益を出したか…私は死ぬとき、そんなことを思って天に昇るのだろうか。ビクトリア湖沿いの小さな街は、私にそんな思いを改めて気づかせてくれました。

 

2時間座り続けた私の頬はどうやらちょっと焼けたようで、宿に戻ると、すでにパーティーは大盛り上がり。

 

「マリナ、どこに行ってたんだい!探したよ~。さあ、食べてね!」

 

ウガンダ兄妹が、私にお皿を渡しました。

 

お皿ということは…?

 

来たー、来たーっ!!

ビールで終わらなかった、今日で三度目の神!

 

こんなことあるんだ。

入国ビザ無料、3日連続のディナー無料ビール付、そして アップグレード。

 

こんなに運を使ってしまっていいのだろうか。

 

いいんじゃない? 

だってここは、ウンガアンダ、ですもの!

 

お後よろしく、人情に支えられた私の旅も、これにてお開き。

 

(生産担当:マリナ)