ケニアのポップミュージック、勝手にベスト3
ケニアにいると、ラジオをよく聞きます。
工房でも、アンテナを最大に伸ばした簡易ラジオが、時折切れながら音楽を流し、乗り合いバス(マタトゥ)にいたっては、クラブか!っていうくらいのボリュームで、窓ガラスを震わせながらノリノリで走っていたりします。
そんな生活をしていると、知らずと流行り(らしい)曲が耳につくようになり、分かるスワヒリ語だけを聞きマネで歌い、気づくと首でリズムをとっている私。
いや、むしろこの耳に残るメロディーを聞きたくて、家でもケニアンミュージックを聞いてしまうのです。
(ケニアの人々も踊るのが大好き)
私が幼稚園生だった頃、両親が趣味で洋楽のコピーバンドを組んでおり、週末はよく地域のセンターで練習をしていました。ビートルズやカーペンターズ、PP&M、ローリングストーンズ…。団塊世代にはたまらんであろう名歌手たちの名曲に囲まれて育ち、家にはドラムのフルセット、ギター、ベース、キーボード、マイクに譜面立て…と、バンドに欠かせないものがそろっていました。
にもかかわらず、きょうだい誰一人楽器はできず、母親譲りの音感と歌のセンスは姉に譲られ、左利きの弟はギターの弦が逆のためやはり歌へと走り、私は歌えば声がデカいだけ…という結果。
DNAとは必ずしも遺伝するもんじゃないらしい。
ということを知った10代前半から、私は歌を捨て、踊る方が性に合っていることに気づき、工房であろうとマタトゥであろうと、分からぬスワヒリ語であろうと、音楽を聴けば体が自然に動き出します。
「あー、この曲よく聴くね~、ケニアンミュージックいいね~。」
「これ、タンザニア。」
「あー、この曲いい~、でも言葉が分からないのよね、何て言ってるの?」
「これ、南アフリカの曲だから、僕も分かんない。」
あ、そうなの? ノリノリだったじゃん!
てな感じで、ケニアの音楽だと思いこんでいたものが、実は他のアフリカ諸国のアーティストによるものも多く、私にはそれを聴き分けるほどの言語能力もなければ、アフリカ音楽にも精通していませんが、私がこの1年の滞在で頻繁に耳にし、キャッチーで、踊りたくなるケニアンミュージック、勝手にベスト3をご紹介しましょう。
<Bahati / Barua>
(出典:Youtube)
バハティ(Bahati)は、孤児としてスラムで育ち、その高い音楽性が注目され、ゴスペル界に旋風を巻き起こすゴスペル王子。歌詞は神を賛美するものですが、何とも耳障りのいい、心地のよいメロディーで、ケニアを含めた東アフリカのゴスペル音楽の「Groove Award 2015」のソングオブザイヤーにも選ばれたヒット曲です。
<Grandpa Family ft DNA-- Chapa / Fimbo Ya Pili NYeNYeNYe>
(出典:Youtube)
一度聴いたら何だか覚えてしまう印象深いサビ。ヒップホップが好きなら絶対にリズムをとってしまう、不思議な魅力のある曲。数年前の曲のようですが、マタトゥでもパブでも頻繁に流れ、私はお料理中でもこの曲が流れると、いったん包丁を置いてノッてしまうのでした。
<Sauti Sol / Sura yako>
(出典:Youtube)
「君の顔」と直訳されるこのタイトル、結婚を申し込む美しい愛の歌なんです。このSauti Solという男性4人グループは、元々アカペラでスタートしたこともあり、歌唱力は一級。MTV African Music Award 2014ではベストグループを受賞、アメリカで開催されたBET Awardにもノミネートされるなど、数々の受賞やノミネート歴を持つ実力派です。
リパラ(Lipala)と呼ばれるケニアの伝統的な踊りをこの曲の振り付けに入れたところ、あちらこちらでリパラダンスが踊られるようになり、大ヒットとなったとか。先月オバマ大統領がケニアを訪問した際には、大統領官邸での食事会でこの歌を披露し、オバマ氏も一緒にリパラダンスを楽しんだそうです。
音楽を聴くと、その曲を聴いた時の情景や、一緒に踊った人やその会話、言葉などが一気によみがえります。数年後、きっとこれらの曲も、私にマチャコスの工房や、爆音マタトゥ、ノリノリの友人を思い出させてくれるんだろうな。
(生産担当:マリナ)