長い物には巻かれろ?織りトレーニングその②
先週お伝えした織りトレーニング。
今週も絶賛開催中です。
前回覚えたペダルの結びはまだ序の口。
本題はここから!
「整経」と「巻き取り」です。
整経とは必要な経糸(たていと)を測る過程です。
10㎝毎に配置した細長い杭に糸を巻き付けて、
糸の幅と順番を決めていきます。
今まで使っていた整経台が使いづらかったので
これを機に隣の大工さんに新しいものを
完全手作りで作ってもらいました!
なんと、杭は一本、一本
カンナで削って丸くしています。
(ソファで上司はお昼寝中でも頑張る大工さん!カンナ仕上げは圧巻でした)
実はこの工程、織り準備の中で
最も大事といっても過言ではありません!
適切な糸の幅と長さを用意するのはもちろんのこと
引っ張り具合がバラバラで
きつい糸と緩い糸が混ざると
まぁ、織りにくいことこの上ない。
糸の順番も一歩間違えると、後が悲惨です。
測り終わった糸は、織り機の後ろに設置し
「巻き取り」作業に入ります。
糸を必要な幅に広げてから、長い長い糸を少しずつ
後ろの棒に巻き込んでいきます。
更に「綜絖通し」→「筬通し」→「結び」と続き
初めて織り始めることができます。
織り体験クラスなどに行くと糸が全て用意してあり
カタン、コトン、と織りだけを楽しめますが、
実は一番大変な作業は全部終わらせてくれている!
ということはどうか覚えておいてください。
さて、本題の「長い物には巻かれろ」。
巻き取りの話だからダジャレで付けたわけではなく
今回の私の密かなテーマです。
織りスタッフはこの2年の間に、
サイザル織りという新しい技術を習得するために
様々な試行錯誤をしてきました。
皆、経験を積んできたサイザル織りのプロですが
あまり好ましくないクセも付いてしまいました。
私が日本から何か覚えて新しく教えようとすると
大体、まず最初に否定されます。
彼女たちのプライドもありますが、
サイザルという厄介な素材を使っている以上、
どうしても慎重になってしまうのです。
1~2回までは私の顔を立てて試してくれますが
それで納得がいかないと元に戻ります。
彼女たちの気持ちを尊重しつつ、
新しい技の重要性をどう説得するかが
いつも悩みの種です。
今回は、まず私の織り修行の模様を
ビデオで見せました。
更に実際に使った麻糸も見せて
(サイザルは麻ではないですが
同じ植物繊維の方が説得力があると思い)
「ほら、これでもできたから大丈夫!」と
話してみました。
みんなの目はちょっと懐疑的。
でも懐疑的な瞳の中に「やってみたいかも・・・」
という表情もちらほら見えます。
織子のウィンフレッドが咳払いをし、
「一応言っておくけど、サイザルは硬いからね」
(ほら、言うと思った!)
「分かってる。でも、麻も中々厄介な素材だけど
ちゃんと織れたから、みんな私を信じて
お願い、一回やってみて!」
いつもじゃなくてもいい。
ただ、時には長い物に巻かれてみましょ♪
と言わんばかりに。
結果的には・・・
大成功です。
新しい技を試すうちに楽しくなってしまったのか。
4人で力を合わせて整経も巻き取りも、
見事に覚えました。
(4人で交代しながら新しい技に挑戦!)
ね?私を信じて良かったでしょう?
という私の得意気な顔に
みんなはちょっと照れた顔をします。
私たちはこれからも、押し問答しながら
サイザル織りを極めていきます!
最後になりましたが、織り素人の私に
いつも丁寧に、優しく教えてくださる
箕輪先生、南先生、北村先生。
本当にありがとうございます。
皆さまのおかげでまた少し、成長できました。
これからもどうぞよろしくお願いします!