クリスマスは甘くない!まさかの砂糖事件発生





1980年代のこと。

エチオピアで起こっていた飢餓への支援のため

有名歌手やスターが集まりある歌をリリースしました。

その名も「Do they know it's Christmas」

(訳:彼らはクリスマスだということを

知っているのだろうか)

 

歌の内容としては、雪も降らず、

生きていくだけで精一杯なアフリカでは

クリスマスを知っているのだろうか、

というもの。

 

この80年代のバンドに是非伝えてあげたい・・・

アフリカ全土とは言えないけれど、

少なくともケニアにはクリスマスが来ます!

キリスト教徒の多い我がマチャコスの町では

クリスマスは一大イベントなのです。

 

さて、ケニアで本格的に生産が始まってから

3回目のクリスマス。

協力者の女性たちとの付き合いも長くなってきた中で

グループを訪問する度に「クリスマス」という言葉が

ささやかれるようになりました。

 

今まで、工房スタッフには細やかなプレゼントはあげていたのですが

確かに、農村部の方々にも今年こそ何か渡しても良いかもしれない、と考え

早速スタッフに調査したところ、クリスマスと言えばやはり食べ物をあげるのが一番良いとのこと。

食べ物、と言えば:

・小麦粉(主食のトウモロコシ粉ではダメ)

・砂糖

食用油

など。

 

しかも、それぞれにプレゼントとして喜ばれる最低分量があるらしく、

小麦粉だったら1キロ、砂糖なら最低500グラム、油は1リットル、といった具合です。

 

事前に集計したところ、現時点での協力者数はなんと300人近く!

それだけ大勢の人に一人ひとりプレゼントするとなると、

零細企業としてはどうしても頭を抱えてしまいます。

 

そこで、スタッフにこんな質問を・・・

例えば、小麦粉の大きな袋を買って、みんなに分けてもらうのはどう?

→ダメ。「あの人の方が多く取った」と言って喧嘩になるから。

経費削減のため、すこ~しだけ量を減らすのは?

→ダメ、絶対にバレる。グラムを知らない人でも、袋の膨らみや重さで疑いを持つ。

代わりにステキなお皿をプレゼントするのは?(お皿の方が安いので)

→普段はいいけど、クリスマスは食料品と決まっている。

 

うぅぅ、難しい・・・

 

市場やスーパーを周り、計算機片手に色々と考慮した結果、

何とか砂糖500グラムに落ち着き、

早速スタッフが大量の砂糖を買ってきて配布の準備に掛かりました。

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まさか、この砂糖が、あとで様々なトラブルを引き起こすとは・・・

 

まずは、サプライズのはずのお砂糖に事前に気付いてしまったグループでは

訪問時に突然人数が30人から40人に増えました。

大きなグループの場合は、「バスケット作り部隊」「糸作り部隊」など

メンバーを仕事によって分けているため

グループのメンバー全員が私たちと関わっているわけではありません。

 

「いつも協力してくれている人たちへのお礼だから・・・」

ということで、見知らぬ10人には帰っていただかなくてはいけませんでした。

 

そして、最も大変だったのは工房スタッフとのやり取りでした。

 

実は、今回工房スタッフについては事前に考えてあったレインコートを

プレゼントとして準備していました。

 

毎年恒例になりつつあるクリスマスパーティーを開いて、

お菓子やジュースを飲んで、椅子取りゲームやお絵かきゲームで盛り上がり

最後にレインコートをプレゼント。

 

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(去年も行った絵描きゲーム。みんなの絵が独特で必ず盛り上がります)

 

皆すぐに着てくれて大喜びしてくれたので、

私もすっかりいい気になっていました。

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ところが・・・その数日後。

「私たちの分のお砂糖は?当然もらえるわよね?」との声が。

 

予算の都合上、今年はレインコートだけと説明すると大激怒。

「レインコートは特別ギフトであって、

メインギフトは食料品でしょう?

なんで皆はもらえて私たちはもらえないの?」

 

とは言っても、レインコートは砂糖の何倍もの値段。

村の人達とこれ以上を差を広げるわけにもいきません。

 

説明した結果、来年は必ず食料品をメインに、

という結論にいたったのですが

この騒動で私の中で3つの気付きがありました。

 

1.欲しい物よりあげたい物を優先してしまった

私の今回の大きな失敗は、彼らが欲しい物を聞くのではなく

私があげたい物、を選んでしまったことだと思っています。

レインコートは確かに喜んでくれましたが

地元の習慣としてはクリスマスはやはり食料品をもらうのが嬉しいのです。

それを無視して行動してしまったのは私の間違えで

反省しなければいけません。

 

2.特別扱いはやはり不公平

私は工房スタッフを特別扱いしてしまった結果

スタッフは返って、全員と同じでないことに不満を感じました。

例えば、全員にお砂糖が配られて、

スタッフだけ何かプラスで付いていれば

恐らく問題はなかったのです。

村の女性たちにとっても、工房スタッフにとっても

過度な特別扱いはただただ不公平です。

 

3.人間関係はどうしても甘えが出る

工房スタッフとも深く関わって3年近く。

どんな人間関係もそうですが、

時間と共に慣れや甘えが生じます。

私は工房スタッフのことを知っているつもりになっていましたし、

スタッフも「これくらいしてくれて当たり前」という態度が

随所にみられるようになりました。

お互いが謙虚でい続けるってなんと難しいこと!

 

でも。でも。

3年で生まれた甘えもありますが、

3年で生まれた絆も、あります。

 

そして、こんな件では揺るがないくらい

私はみんなが好き。

 

いつかこの件も、笑い話になる日が来るだろう。

それまでにも色々な葛藤があるだろうけど

また来年の12月もケニアでみんなと

クリスマスパーティーができますように、

と想像しながらニヤニヤしてしまう

甘々な生産部長です。

 

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