タダイマ、ニッポン。アナタハニホンジンデスカ事件





ケニアから一時帰国中の、生産担当マリナです。

 

あたりは見慣れた足の長さのヒトが歩き、街では話し慣れたコトバが聞こえ、食べ慣れたソイソースの味に、すでに帰ってきた感じ満載の数日を過ごしています。久しぶりに都会の人混みに圧倒され、ケニアの田舎のヤギ混みがもうすでに懐かしく思えます。

 

ケニアに行った直後は、ゆったり歩くケニアの人々に、なぜ追いつかないのかが不思議で、ビルの鏡に映った自分の姿に思わず二度見。あまりに違いすぎる足の長さ。彼らはひょいと一歩だせば、私の2倍は進んでいます。その回転数の少なさゆえに、せわしなさがなく、雄大なのです。

 

そんな毎日に慣れてきた私は、「おかえりなさい」という空港の看板に迎えられると、あっという間に日本のスピード感覚が戻り、もう渋谷のスクランブル交差点も見事に渡り切り、スタスタといつもの3倍くらいの速度で歩いています。やっぱり日本人だわね、とその切り替えの早さに自分でも驚いています。

 

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(久しぶりの日本。相変わらず都会)

 

な・の・に。

 

日本行きの飛行機は、地下鉄の乗り換えのごとくスムースで、私は映画を見る気満々で通路側の座席に座っていました。

 

「エ、エクスキューズミー、イレブンエー(11A)」

 

窓側の席を指さしながら、慣れない英語で訴えてきた日本人らしきその男性は、私の顔をのぞきこみながら、恐縮そうに窓側の席につきました。

 

ガラガラで離陸した飛行機は、新しい機体で快適そのもの。きれいにお化粧をしたCAの女性が飲み物を配り始めました。

 

「Would you like some drinks?(お飲み物はいかがですか?)」

 

映画に見入っていた私は、あまり周りを注意を払わないまま、無意識に「Coffee please」と英語でこたえていました。その美しいCAさんは笑顔でコーヒーを注ぎ、私は熱々の一杯を楽しんでいました。

 

するとこのCAさん、窓側に座ってきた男性に、「お飲み物はいかがですか?」と日本語でサーブしています。やっぱりこの男性は日本人だったのね、と同時に、あれ? CAさん日本人?

 

ふと見ると、ネームプレートには「AYUMI」と。

 

ちょっと不思議に思いながらも、ケニアの空港でしばしお別れの地元ビールの「飲み納め」でビールしか飲まなかった私は、朝ごはんのメニューを楽しみに待っていました。

 

鶏肉のレモングラス風味。久しぶりのエスニックテイスト。あー、おいしそう。

お魚のココナッツソース。久しぶりのお魚。あー、こっちもひかれる。

 

最後の最後まで悩んでいたところに、CAのAYUMIさんがやってきました。

「Would you like Chicken or fish?」

 

AYUMIさん! なぜ英語?

 

頭にハテナマークが浮かびながらも、1年近くケニアにいると、英語で聞かれたら英語でこたえるクセがついています。私はそのまま思わず「Fish please」。

 

同じやりとりは、窓側の男性とは日本語で繰り広げられています。

 

AYUMIさん! おかしくない?

 

とは言え、そうされると何となく日本語にするタイミングがつかめなくて、ことある度に英語で返していたら…

 

「Here you are.」と渡されたものは、なんと外国人用出入国カード。

 

AYUMIさん! 私、日本人でござる…。

 

さすがにこれでは税関を通れないので、「あのー、日本人用のをいただけますか」と言うと、バツの悪そうな苦笑いで、すみません、と急いで取り換えてくれました。

 

そりゃね、毎日日焼け止めもろくに塗らず、ほんのり(こんがり?)焼けましたよ。

確かにね、昔からそんなにさっぱりした顔ではありませんよ。

顔でダメなら…、あ、足の長さ見せてあげればよかったかしら。

 

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(見事な靴焼け。顔も腕も同じくらい焼けています。

 

珍事件を経て飛行機を降り、日本人用に交換してもらった税関申告書で、無事、ただいま!

 

短い帰国ですが、ケニア工房やサイザルバッグ、ブックカバーにご関心のある日本のみなさまと、直接お会いできることを楽しみにしています。

 

(生産担当:マリナ@トーキョー)