ケニア生活に危険? 敵はドロボーか、ポリスか?





3週間ほど前のことでした。

ここケニア・マチャコス在住の日本人の方のアパートに、侵入者ありとの情報が入ってきました。

 

そしてつい1週間前、立て続けに他の日本人の方のお宅が荒らされたとのこと。「マリナさんも気をつけて」と連絡をもらい、私は不安を抱えて帰宅しました。

 

マチャコスは、だれに言わせても「安全」と表現されるほど、空気が穏やかで、街にも殺気立った感じがありません。

 

そのマチャコスに盗難。

しかも、外国人、もしくは日本人を狙ったような出来事に私の心配は大きくなるばかり。特定の組織に属さず、一人で勝手にケニアに住み着いた私は、こういうときのライフラインがあまりありません。だれに相談すべきか…。

 

思い出した。

 

ケニアの警察になるためにマチャコスを去った友人マステキが、なんと置き土産に現役警察官2人の電話番号を残しておいてくれたのです。「僕はまだ訓練中で君の安全を守れないから」という粋な計らいで。

 

これだ。使わない手はない。

警察と顔見知りになるにこしたこたぁねえぜ。

 

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(あちらこちらをしっかり施錠)

 

早速一人に連絡し、ごあいさつ。

細身の静かなおじさんは、マチャコス安全説を解き「基本的には警察署にいるから」と、あまり真剣とは思えない口調で、その場を去っていきました。

 

なんか、心配。

 

もう一人は、紹介してくれたマステキと兄弟と間違われるほど背格好が似た、年の頃30歳手前の長身。

 

キムタイと名乗るその人とは、他の用件もあって、ソーダを飲みながらごあいさつ。若きデンゼル・ワシントンを彷彿とさせるような顔立ちに、陽気でフレンドリーな雰囲気の彼は、ふんふんと真剣な面持ちで話を聞いてくれ、万が一に備え、私の住んでいるアパートに一度来てくれることになりました。

 

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その夜、マステキにお礼の電話を入れると、

 

「そうか、会えてよかったね。信頼できる二人だけど、キムタイは気をつけてね。」

「どういうこと?」

「信頼はできるけど、彼はフレンドリーだし、背が高いし、かっこいいし… そういう意味で、気をつけてね。」

 

確かに、キムタイはちょっと色男風。

話し方や仕草、その深いえくぼがオンナの気をひくような、危険な情事風。

 

「マリーナ、僕は彼のガールフレンドを知っているんだよ。しかも複数ね。」とマステキ。

 

ちょっと、そっちの方がアブナイじゃないか…。

私を身の危険から守ってくれるために紹介してくれたんじゃないのかね…。

 

とはいえ、この状況ではケニアのデンゼルよりも、ドロボーたちの方が怖いので、約束通りキムタイを呼び、プロの視点でセキュリティーに関してアドバイスをもらいました。

 

家の中も見せるべきかな? 

いや、それはそれで別の危険があるな?

なんで警官から身を守ろうとしてるんだ、アタシ。

 

「セキュリティーは大丈夫。しいて言うなら、踊り場の天井が屋根裏に通じてることかな。泥棒対策でなくても修理してもらったらいいよ。」

 

キムタイは私の予想に反して(失礼)、まじめにアパートをチェックしてくれ、私はお礼にソーダをごちそうしました。

 

「何かあったらいつでも電話して。僕が“個人的に”来るから。じゃあ、おやすみ、セクシーな夜を。」

 

去り際にそう言いながらウインクする彼のチャラい発言を笑顔で交わし、家にあるあらゆる鍵を引っ張り出して、あちらこちらをしっかり施錠。

 

ドロボーよ、そう簡単には入らせないぜ!

私には、なんつったって、デンゼル・チャラ男がいるんだから!

 

と言いながら、夜に玄関先でカチャンと音がするたびに振り返る、ビビリな毎日を送っています。

 

(生産担当:マリナ)