サファリに恋して in ケニア Vol.2 ~ウソじゃなかった!驚くべきガイドの視力~
パソコンの前に座ること毎日8時間。
細かい数字との格闘、5分ごとにやってくるメールの嵐。
そんな日本での社蓄生活12年。
視力1.5を誇ってきた私も、とうとうメガネを持つようになりました。ケニアに来たら、緑に囲まれ、パソコン生活からも解放かと思ったら大間違い。日本とのやりとりはパソコンだし、こうしてブログも書くし、調べものはもっぱらグーグル様だし。
ああ、何て悲しき現代病。
当然サファリ中も、動物探しにメガネは必需品。ヒョウが草むらに入ってしまえばカモフラージュ効果で追うのも難しく、この大地を肉眼で見たい気持ちとは裏腹に、メガネがなければたくさんの動物を見落としてしまいます。
さて。
前回のアンボセリ国立公園から、マサイマラ国立保護区へと移動した友人ガイドのデダンと私。
途中、アフリカ大陸を南北に縦断するグレートリフトバレー(大地溝帯)を通過し、8時間かけて到着。
マラ川を見下ろすロッジで長旅の疲れをビールで癒し、次の日のゲームドライブ(野生動物観察)を楽しみにしながら、キングサイズのベッドを独占して眠りについたのでした。
翌朝7時半。
ひと足先に朝食を済ませたデダンが、サファリバンのエンジンを温めて待っていました。
カチッ。
バンに設置された無線のスイッチをオン。
穏やかな友人デダンから、プロのガイドへと切り替わる瞬間。
ライオンが獲物を狙うときのように、彼もまた野生動物を見つけようと、キリッと目つきが鋭くなります。オンナなら惚れてまうわよ、ザ・必殺仕事人。
この無線では、ケニア国内のすべての公園情報が飛び交っており、ガイドはここから必要な情報を聞き分け、動物の居場所を探していきます。特にビッグ5(ゾウ、バッファロー、ヒョウ、サイ、ライオン)と呼ばれる希少価値の高い動物は、クライアントが最も楽しみにしているため、この情報駆使力と判断力はガイドの経験にかかっています。
私たちもゆっくりとバンを進め、いざビッグ5を見つけに出発!
しばらくすると、デダンが車を止めました。
何かいるな? どこだどこだ?
私は辺りを見ながら、デダンさながらハンターのような目つきで木の上や草むらに目線を向けました。
あのー、何もいないんですけど、デダン君?
「え、いるじゃん、あそこにバッファロー。」
あそこ…? いずこ…?
「ほら、あれ、黒くて丸っぽい、ほら、あそこ!」
デダンの指さす先を目で追うと、そこには…岩。
ちょっと岩じゃんよ! 岩? あれ岩でしょ?
「バッファローだよ。ほら動いた。」
動いただと!?
ざっと視線を送ること500メートル。うっそ。あれ見えんの?
私はメガネの上にサングラスのダブル装着で挑んでいるというのに、いとも簡単にはるか遠くのバッファローと岩を見分けるデダン。
双眼鏡を取り出し、ピントを合わせると、まさしくバッファロー。
そんな! バッキャロー!
「あっちにはオスのダチョウがいるよ。シマウマも2頭いるね。」
見渡す限りの大地、私はダチョウのダの字、シマウマのシの字も見えましぇんけど…。
「えー、見えないの? シマウマがしっぽ振っているのも見えるよ。」
ウワサには聞いていた。
これがアフリカンの視力の良さか。
その鋭い目は、どこまで見えるのか。
500メートル先のシマウマのしっぽの揺れまで見えるのならば、助手席の私のしわなんて、バレまくりね…。
あれから3年。
先日ナイロビで久しぶりに会ったデダンは、スマホいじりに忙しかった。
ああ、現代病。そのうち彼も、メガネをかける日がやってくるのだろうか。
(生産担当:マリナ)