ポレポレ出勤対策





ケニアの時間の流れは、優雅。

通勤時間にせわしなく歩く日本の朝とは違い、時間に余裕をもって、ゆったりと歩いて職場に到着します。急いでもいいことはないよ、ということわざが語るように、ケニアは「ポレポレ(ゆっくり)」という概念が浸透しています。

 

というのが、きれいな表現。

単刀直入に言うと、遅刻。

 

工房は朝8時からスタートしますが、なんだかんだ、みんな少しずつ遅れてくるケースがほとんどでした。ひどいときには45分。ふら~っと来て「おはよう~」。

 

日本は時間前行動を生活の中で教えられ、学校、会社、友人との待ち合わせにおいても、遅刻はバツの悪い気持ちがあるもの。ここは遅刻は悪いことでもないようなので、遅れる人も、待つ人も、厳しくなる土壌がありません。

 

しかし、私たちの会社はモノづくり。

作ったものが売れないと、どうにも収入に結び付きません。遅れれば遅れるほど、商品を作る時間が削られ、生産量が減ってしまいます。さすがに毎日45分平気な顔で遅れて来られては、困るわけです。

 

おし、これはポレポレ出勤対策だ!

 

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意気込んでみたものの、「遅刻だよ」と言ったところで、「うん」と笑顔で見つめ返されるこの「寛容」な文化の中で、ただただ勤怠ルールを作ってもあまり説得力がない。

 

なぜ遅刻しないようにするのか、みんなが納得できるよう「品質と生産性」について2週にわたり、意見を交わし合いました。

 

すると、スタッフのみんなはとてもいい視点を持っていたんです。

タイムマネジメント、真剣さ、ミスとロスを減らす、供給量を増やす、チームワーク…

そして、欠勤や遅刻が生産、ひいては収入に響くこともストーリーとユーモアを交えながら話していくと、遅刻の幅も随分と縮まり、45分の常連君は5分遅れで出勤。

やればできるじゃん!

 

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何もルールがすばらしいのではないのです。

ミーティングという場で、みなが意見を言えること、スタッフの言葉に耳を傾けることができる環境ができたこと、これが必要だったのです。

 

裏を返せば、それまできちんと聞けていなかった、ということ。

どんな仕事でも、どんな国でも、どんな人間関係でも、基本はやっぱり「聞く」こと。

日本のやり方をただ持ち込むことは気が引けるし、外国人がマネジメントをしているだけで、ビジュアル的に「上下構造」をイメージさせてしまい、ここは自身の在り方を常に問う必要があります。

 

ミーティングを持つことで、スタッフとの距離も心なしか縮まったように感じ、品質と生産性を上げよう、工房の士気が高まった!

 

と思った矢先、何ととんでもない事件が…。(つづく)

 

(生産担当:マリナ))