高品質のサイザル麻を求めて④~撚糸作成編~
さて今回は私たちが商品を作る為に必要なサイザル麻の撚糸についてご紹介していきます。
以前にもお伝えしましたが、私たちが使っている撚糸は一般的な撚糸よりかなり細い糸を使用しています。
これを用いることで、なめらかさが上がるなど商品の出来が大きく変わってくる為です。
しかし、この撚糸を作るためには高い技術が必要になってきます。
私たちはこの撚糸の品質向上に取り組んでいます。
私たちにこの撚糸を作ってくれている女性達は各自で住居周辺に生えているサイザル麻を取りに行っています。
この際、女性達にはサイザル麻は内側の新しい芽だけを選んでもらっています。
その方が繊維が柔らかく、弾力性があるのです。
取って帰ってきたサイザル麻は、次に表皮を剥す工程に入ります。
サイザル麻は表皮を剥がすとすぐに繊維が出てきます。
しかしこの剥ぎ方にちょっとしたコツがあります。
表皮だけを上手く剥す為には力加減や刃を入れる角度などが大事になります。
素人にはなかなか難しい作業ですが、彼女たちはとても手際よく繊維を抽出することが出来ます。
百聞は一見にしかず!っということで是非こちらのHPの動画もご覧ください。
生産背景|Amber Hour Inc.(AH公式HP)
さて準備も整い、それではいよいよ糸を撚っていきます。
ブックカバーなどに使われる最も細いサイズの糸は、繊維を約10~15本程度使っています。
サイザル麻はとても絡みやすい繊維の為、慣れるまでは繊維を選り分けるだけでも少し苦戦します。
この繊維を太ももや脛に置き、その上から手をかぶせ、上下に動かすことで糸を撚っていきます。
ここでのポイントは力加減です。
上手く力が入らなかったり、ねじりが足りなかったりした場合は、撚りが甘くすぐにほどけてしまうので、使い物にならない糸が出来てしまいます。
しっかりとした糸を撚る為には、適切な力加減が大事になってくるのです。
そして最後に最も技術が必要となる“継ぎ足し”の工程がやってきます。
サイザル一葉から取れる繊維の長さはおおよそ40cmですので、1本の長い撚糸にするためには適宜繊維を繋ぎ合わせる必要があります。
この継ぎ足す量によって太さが変わってしまうので、とても繊細かつ重要な工程になります。
例えば適切な量を継ぎ足さないと、撚糸が太くなったり、細くなりすぎて次の継ぎ足しができなくなったりしてしまいます。
この様に各工程でちょっとしたコツや大事なポイントが存在します。
この細かな部分をしっかりと伝え、実行してもらうことで高い品質の撚糸を作ってもらうことが可能になります。
ただここまで少し偉そうに書いていますが、長年培ってきた技術なので当然私たちが彼女たちから学ぶことがとても多いです。
私たちは撚糸を上手に作れる女性たちから学び、それを他の女性達にトレーニングしていくことで全体的な品質の向上を目指しています。
彼女たちの技術と私たちのこだわりが混ざり合うことで、より品質の高い撚糸が生まれます。
この様に私たちは日々女性達と切磋琢磨しながら、試行錯誤を続けています。
(生産担当:横山)