秩父織り修行 ~太織の里を訪ねて~





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先週の木曜日のこと。

朝日が昇って間もない時間に電車に乗り、埼玉県の秩父市に向かいました。

目指すは秩父にある織り工房「Handweaver Magnetic Pole」。

1泊2日の織り修行の始まりです。

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自称「霧女」な私の名に恥じぬ、濃くて深~い霧の降りた秩父駅では、

織り職人の南 麻耶さんが迎えに来てくれていました。

南さんは、2014年にボランティアとしてケニアの工房に2ヶ月間来てくださり、

今のサイザル織りの基礎を作ってくれた女性です。

(その当時のお話については過去記事を御覧ください!)

 

ケニアのボランティア後は単身でスウェーデンに渡って勉強され、

現在は秩父スウェーデン秩父織りの融合に取り組んでいらっしゃいます。

いつも織りで悩むと南さんに連絡しアドバイスを頂いているのですが、

今回の相談事についてはどうしても自分の目、手、そして体で覚えたく、

無理を言って秩父まで押しかけてしまいました。

 

せっかくの時間を無駄にしてはいけないので早速工房で。

Handweaver Magnetic Poleは直訳すると「織り手」「磁極」。

創設者の北村久美子さんと南さんのお名前からつけられたそうですが、

何ともセンスが良い工房名ですよね!

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このかわいらしい茶色い建物の中では、想像を絶する職人技が行われています。

北村さんは太織(ふとり)という秩父の伝統織り物のスペシャリストで

なんと、繭玉(教科書に出てくる、カイコのあの繭玉です!)から糸を引き、

それを草木染めを用いて色を付け、糊付けし、織っていくという

半素人な私はのけぞってしまうような工程をこなしていらっしゃいます。

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(織り職人のお二人。右が北村さん、左が南さんです)

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(北村さんが紡いだ美しい絹糸は漂白していないのに純白で柔らかい!)

ケニアで織りなんて大変でしょう・・・」とお客様によく同情されるのですが、

国内のものづくりの奥の深さとこだわりには、本当に頭が上がりません。


もっともっと語りたいのですが、ご本人たちの言葉の方がよっぽど分かりやすいと思うので、是非Handweaver Magnetic Poleさんのブログもご覧ください!

ameblo.jp

 

さて、北村さんと南さんの素敵な工房にお邪魔したのは、

残念ながら太織について学ぶためではなく

完全なる自分の都合です。

 

ケニアでサイザルを織るために織り機を開発し、

南さんや、染織家の箕輪直子さんなどたくさんの方のご協力のおかげで

製品と呼べる織り生地の作成にたどり着きましたが

歴史の浅いサイザル織りはまだまだ成長途中です。

 

今回の課題は効率よく、長く織ること。

毎日織り続ける中で織子さん達も色々と工夫を凝らし、

独自の方法を生み出していたのですが

気付いたら返って効率が悪く、織りにくい手法になってしまっていました。

しかも一度に織れるのは最高で1.5メートル。

 

毎日、織り機に糸を通すのは大変な作業です。

糸を通して設定する作業だけで、3時間近くかかり、

工程によっては4人の手が必要になってしまいます。

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この作業の回数を減らし、その代わりに織りに集中することができれば

織子さん達にとっても、加工する人にとっても、楽になり

更に糸のロスも防ぐことができる!

 

6メートルや10メートルの織り生地を織るのが夢でなくなる・・・

立ち上げ当初の織りを知っている私にとってそれはとても大きな意味を持つ、

大切なステップで、とにかく教わることを全部見逃さず、

五感全部で覚えようと必死に二人の先生の動きを追いました。

 

はい、では論より証拠!

「観光に行ったんじゃないの~?」と疑っている声が

今にも聞こえそうなので 笑

教わっている光景を少しだけお見せします。

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(必要な経糸を図るための整経と呼ばれる作業)

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(織り機に糸を巻いていくための準備中です)

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期間中に3メートルの織り生地も織っちゃいました!

これをケニアに持って行って、「3メートルも4メートルも夢じゃないんだよ!」と

皆に証明してきたいと思います。

 

ね?ちゃんと勉強してきたでしょ?

とちょっと自慢したくなっちゃいますが

これがケニアの工房でできなければ成果がないので

次に行くときにこの技術をどう伝えるか、現在レッスンプランを作成中です。

ケニアでのレッスンがどう進むか・・・

そのときが来たら、またご報告しますね!

 

最後になりましたが、

本日ご紹介したHandweaver Magnetic Poleさんの製品を

実際に見てみたい!という関東在住の皆さまに朗報です。

11月23日~25日まで浅草橋のヒューリックビルのイベントに参加されるそうです。

イベント詳細は下記リンクよりご確認いただけます:

www.kanto-kogei.com

 

さて、千葉に戻ってきた私を待ち受けていたのは、個性あふれる革職人巡り・・・

その様子は、また次回!