伝統の継承は母から娘、そして異国の娘へ・・・

最近、歩きスマホならぬ、「歩き織り」にハマっています。

何を作っているかというと・・・丸いコースター!

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サイザルバッグの底になる部分と同じ作り方です。

もちろん、車の少ない通りだけですが、

作り始めると楽しくなって、中々止まりません。

 

発端は2週間前の火曜日。

毎週火曜日になると農村部からバスケットが届きます。

バスケット査定のヘルプに入ってくれるジャネットさんとおしゃべりしながら

コースター作りの話をしていました。

 

「この丸を活用してストラップやチャームなど、

楽しいものが作れると思うのよね」

「確かに、良いアイデアだと思う!私も頑張って作るわ。

ただ、始めた方は分かるんだけど、終わらせ方を知らなくて・・・」

「じゃあ、今日ちょうど良い先生が来るじゃない!」

 

その日、村からバスケットを届けに来てくれるペニーナさんという女性は

かご織りの技術もピカイチで、複雑な柄も難なくこなせるベテランさんです。

彼女ならば、きっときれいな織り方を教えてくれるはず。

 

早速ペニーナさん、登場!

久しぶりに会えて嬉しいな、と思ったのも束の間、彼女の表情は硬い。

それもそのはず、バスケット査定の鬼(つまり私)が来てるんですもの・・・

笑顔がちょっと引きつってます。

 

早速査定が始まって、いつもの押し問答が始まります。

「ペニーナさん、このかご作った人、変な癖がある」

「この歪み、かっこ悪い」

「サイズが全然違って、これでは商品にならない」

などなど・・・

 

もちろん、素敵なバスケットはひたすら褒めるのですが

やっぱり中々笑顔になってくれません。

 

緊張感が漂う中、最後の査定が終わり、

支払いも終わってホッと一息したところで、

ジャネットが思い切って声を出しました。

「ペニーナさん、これの作り方なんだけれど・・・」

 

途端に、マダムペニーナの授業が始まります。

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(左側がジャネット。右がペニーナ先生です)

「こうやって、ループを作って、巻いて、巻いて、それから・・・」

すごい早わざ!

他のスタッフも思わず持ち場を離れて見に来ます。

 

せっかくなので、動画もどうぞ!

カンバ語の優しい響きも聞けますよ。(ラジオが少しうるさいですが・・・)

 

Learning how to weave baskets!

Hikaru Okamotoさん(@hikaru_amber)が投稿した動画 -

 

あっという間に完成したコースターを見て驚いている私をよそに

「あ~、なるほど、分かった!」と納得しているジャネット。

ちょっと待って!私もやりたい!

 

糸を切り出して巻き始めるものの、どうも緩い・・・

そんな私を見たペニーナさんが笑い始めました。

「指の置き方が違うわよ。そもそも、巻き方が逆だわ」

 

そうして、今度は私の手を握りながら少しずつ教えてくれます。

 

やっと完成した、私の初めてのコースターは緩くて歪んだものだったけれど、

ペニーナさんはその日一番の笑顔で「練習するのね!」と言って

最後は握手して帰っていきました。

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(記念すべき第一号!早速スタッフのバッグで試したものの、うーむ、まだ改良の余地あり

 

それからという物、私のかご織り熱が冷めません・・・

バスの長い待ち時間でチクチク、お昼を食べながらチクチク。

糸の買い取りに村に行ったときも練習していたら

そこにもたくさんの先生がいて、また授業でチクチク。

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(村の女性たちは指の力が強い!真剣に習ってます)

 

このまま、バスケットも作ってみようかな?!

(それはちょっと調子に乗りすぎ・・・)

 

かご織りは、母から娘へ代々伝えていく技術ですが、

やはり時代の波に飲まれて覚える女性も少なくなっています。

 

アンバーアワーを通じてジャネットのような若い女性たちが技術を引き継ぎ

そして国籍の違う私も引き継いでいったら

サイザルのかご織り歴史にまた新たなページが刻まれるかもしれない。

 

そんなロマンチックな妄想をしながら、

今日もチクチクと、商品開発を進めています。

初めてのゲストスピーカー!雨降る朝、慶応大学にて

さて、ケニアに来るちょうど2週間前の土曜日のお話。

実は、ゲストスピーカーとして慶応大学に伺いました!

 

福沢諭吉先生が見守る中、

壇上で大勢の学生たちにケニアのものづくりについて熱く語る私・・・

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というのは、ウソですが。笑

わたしの大学の大先輩が現在教えていらっしゃる授業にお邪魔し、

アンバーアワーの取り組みについてプレゼンテーションを行った後

学生さん達と「フェアトレード」や「マーケティング」について話し合いました。

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毎度のことながら、ケニアやアンバーアワーの話を長~く話してしまい

すっかりタイムオーバーしてしまったひかるさん・・・

それでも、学生の皆さんはとても熱心に聞いてくださいました。

 

プレゼンテーションを終えた後のディスカッションの時間では

様々な質問が上がりました。

特に印象に残った質問を2つ、私の回答と共にご紹介します。


Q. 最近、途上国でものづくりをしているブランドは増えてきましたが、その中でどう競争していこうと考えていますか?

A. そもそも、途上国でものづくりをしているブランドが増えていることをご存知であることをとても嬉しく思います。確かに、数も増え露出度も上がっているとは思いますが、いわゆるソーシャルビジネスの認知度はまだまだ低いので、その中で競っていても同じ方々にしか訴えられなくなってしまうと考えています。

ソーシャルビジネスの中で競争する、というより、より広い視野を持つこと。例えば、私たちの場合はバッグが多いのでバッグ屋の中で競う、という意識を持つことで今まで国際開発やこうしたビジネスに興味のなかった方々とも接する機会が増えると考えています。

 

フェアトレードのベースにある「適正価格」の設定方法に疑問があります。アンバーアワーでは適正価格をどういう風に決めているのですか?

確かに、一言で適正価格と言っても、定義を決めるのは難しいですよね。私たちの場合はなるべく現地の情報をたくさん集めるようにしたり、作成の時間なども判断材料の一つにしています。ただし、最終的には販売価格も考慮しなければいけません。

 

事前に弊社ホームページも熱心に読んでくれたことが伝わる質問もあって、

学生さん達の熱意と鋭さ、頭の回転の速さに嬉しくなりました。

同時に、まだ4年目の私がこんな風に語っていることも少し気恥ずかしかったですが

一度話し出したら伝えたいことが次から次と出てきて、

起業してからの時間の濃度の高さを改めて感じさせられました。

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また、せっかくの機会なので、彼らの世代の感覚も色々聞いてみました!

 

例えば、「もしフェアトレードの商品を彼氏からプレゼントされたら?」と

女性たちに聞いてみたところ、彼女たち曰く

フェアトレード感をあまり出さなければいい」のだそう。

商品のストーリーだけでもらうと、何だか彼の自慢話に聞こえてしまうのだとか。

どちらかというと、「似合うと思ったから。因みにケニアで作られて・・・」

という順番が嬉しいみたいですよ(←男性の皆さま、メモしてください!)

 

また、男性の一人はアンバーアワーの新しいMade In Japanシリーズのバッグが好みで

理由を聞くと、「アフリカ感の強いものは、傍から見ておしゃれでも、自分が持つのに

勇気がいる。日本産でケニアのものが取り入れられている、というのは人とは違うけど

でも日本でもより気軽に使える」とのご意見が。

 

乙女心、男心、どちらも複雑!

でも、どちらも素直ですよね。

 

楽しい話をしている内にあっという間に終わってしまった慶応授業。

私は学生の皆さんからたくさんエネルギーを頂きましたが、

私は果たして彼らに何か伝えることができたのだろうか・・・

 

彼らに熱く語ってしまったことが嘘にならないように、今日も頑張ります。

ケニア到着!そして早速、織り機のトラブル・・・?

皆さま、こんにちは。

実は先週から生産現場であるケニアに来ています。

 

7月にも来ていたのでわずか3ヵ月ぶりですが、

なんだか懐かしい気持ちがするのが不思議です。

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写真は工房に向かう途中でタクシーの窓から撮った景色。

10月はちょうど乾季から雨季に移り変わる時期なので

空がほのかに青く、全体的に赤土が目立ちます。

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因みに、この写真で見える長い茎のようなものは、実はサイザルの「花」です!

(詳しくはこちらで!)

 

さて、工房の手前で車を止めてもらい、忍び足で入り口へ・・・

というのも、今回の訪問はサプライズの予定!

そろ~りと近づくと、いつものラジオ番組の音にみんなの声が聞こえてきて・・・

織り子のナンシーの背後から「こんにちは!」

 

「きゃ~!」「ひかる~!」「きゃ~!」

と黄色い悲鳴が上がる中、女性たちがみんなハグしてくれます。

普段人見知りなカンバ族の女性たちにハグされるのはとっても嬉しいこと。

 

いつもサプライズで訪問するのは「普段の状態の工房を点検するため」ですが

実は、この歓迎が嬉しいからというちょっとわがままな理由もあるかも?

 

と言いつつ、一応工房の中を一通り点検すると、

前回汚かった棚は整理整頓されていて、

メールで指摘した在庫の問題は直してあり、

少々埃が溜まっている、という点以外は

特に大きな問題は見つかりませんでした。

 

私が歩き回る間みんなちょっとだけ緊張しながら私の動向を追い、

「大丈夫」と笑顔を見せるとまた満面の笑顔を返してくれる。

ああ~、やっぱり皆好きだ~、と甘い私は思ってしまいます。

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(おしゃべりしながらも手はずっと動かしています)

 

さて、到着から1週間で既にたくさんの事件(!)が起きていますが

最初のびっくり事件は、織り機のトラブル。

 

以前から「織り機の釘が弱すぎて困っている」と相談を受けていたのですが

今回織子さんが実際に問題の部分を見せてくれたら・・・

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ん・・・

え・・・・?

これ、虫に食われてない?!

 

そうなんです、この木の棒は元々こんな風にきれいに筒状に削られていたわけではなく

普通に中央に釘の刺さった棒だったのですが

導入から2年でいつの間にかこんなことに・・・

 

「これ、シロアリ(Termite)だよね・・・」

「Termiteって何?」

「あ、ほら、木を食べちゃう虫」

(スタッフ同士、カンバ語で議論)

「つまり、カンバ語で言うNthuthiだね?」

「うん、(たぶん)そう・・・」

 

釘が原因じゃなかった・・・

 

とにかく、この状況では織るに織れないので

工房にあるもので応急措置を、と見つけたのが図工用の粘土。

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この様に、粘土をたっぷり詰めて、

ハンマーで釘を打ち込んでつなげたら、なんとか回るようになりました。

 

大工さんを呼ぶまでは、とりあえず一安心。

でも、今回のケニア滞在、既に波乱万丈になる予感。

 

さて、どんな事件が待ち受けているのか・・・

ケニアからの催促はチャットにて

*ピコーン*と鳴るスマホの機械音。

私の一日、といってもケニア工房の稼働している日本時間の午後2時から11時ですが、

この9時間の間、私はこの機械音に支配されます。

 

現在、ケニアのマチャコスにある工房では、

スタッフが懸命に生産をまわしてくれています。

日々の連絡はチャットにて。

主要メンバーに限って、週1回、その週の出来事や気付き、今後に向けたアイデア等を

記したレポートをスキャンし、メールで送ってもらっています。

 

意外に思われる方も多いかと思いますが、ケニアでもスマホ化が進んでいて

フェイスブックやチャットを使う若者が増えています。

携帯利用料は日本のように月額払いの場合もありますが、ほとんどの人はプリペイド

なので、お金が入ったら携帯をチャージして使っています。

 

さて、9月に入ってから、新人スタッフのガブリエル君担当で

大きな輸送がありました。

私が遠方から出す指示を守りながら、商品をしっかりと袋や箱に詰め、

それを飛行場に持って行く大仕事。

ガブリエル君に7月に会ったときに、「とても重要な仕事なのよ!」

「あなたが間違えると、コストが増えちゃうのよ!」と口を酸っぱくして伝えたせいか

かなり力が入っていました。

 

それが先週日本に無事届き、ホッと胸をなでおろした矢先・・・

*ピコーン**ピコーン*

 

工房監督のジェーンからのチャット。

「荷物は無事届いた?次に向けて勉強したいから、ちゃんと悪いとこ教えてね」

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(しっかり者のジェーンが週次報告書を記入中)

 

ジェーンも随分とスーパーバイザーっぽくなったな~と思いながら

「もちろん、ちゃんと伝えるけど、検品したいから少し時間ください」とお願い。

 

というのも・・・バッグ用のバスケットだけでも350個ほど。

パスケース数百個に織り生地、プラントハンガー、と

全て検品するのには果てしない時間が掛かるのです・・・

 

しかし!お客様にお出しする大切な商品に万が一のことがあってはいけないので。

在庫部屋の床に座りながらサイズや品質などを一つ一つチェックし、

問題点は細かくメモしていきます。

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数時間かけて終わる検品。

次に待っているのはケニアに送るフィードバックメモ

(良かった点、反省点などをまとめた紙)

これがまた手間が掛かるので、他の仕事と並行して書いて

数日経ってしまったところ・・・

 

*ピコーン**ピコーン**ピコーン*

 

なになに?と思ってスマホを除くと

今度はガブリエル君からのチャット。

「ひかる、輸送の良い点や悪い点をまだ教えてくれてないじゃないか。

バスケットは曲がったり潰れたりしていなかったか?」

 

はぁ・・お願い、もうちょっと時間くださいな・・・と愚痴をこぼしながらも

実を言うと、内心とっても嬉しいんです。

 

ジェーンもガブリエルも、言葉は違えど伝えてきているメッセージは同じ:

"We want to improve (もっと上達したい)"

 

メーカーとしては、まだまだ足りないところだらけですが、

スタッフ一人ひとりが向上心を持ってくれている以上、

この工房には未来があります。

 

結局、4時間かけて出来上がったフィードバックメモは7ページに及ぶ大作に。

全体の総括、問題点の統計、そして写真付きの各商品に対する細かい反省点のリスト。

 

例えば、こんなことを指摘します:

・Aさんの織り生地は横がきれいに揃っているのにBさんのは歪んでいてこれでは加工しにくいので、BさんはAさんから一度トレーニングを受けてください。

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・パスケースの左側と右側の縫い目の終わりが3ミリほど離れると恰好が悪いので、今後は同位置で統一してください。

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・バスケットの糸がところどころ汚いです。ちゃんときれいな糸を使うよう作り手さんたちに指導し、チェックするときは明るいところで見るように

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自分で認めますが、かなりネチネチと細かいです。

 

品質については特に容赦ありません。

 

さぁ、あれだけ催促したのにこんなページ数送られて凹んでるかしら・・・と心配していたら、またもやいつもの

*ピコーン**ピコーン*

 

ジェーンから:

「スタッフ全員でメールとフィードバックを読みました。以前より改善されていたと聞いてメンバー全員喜んでいたけれど、新たな改善点については対策を取っていくことを約束しています。」

 

良かった・・・

さて、次の輸送ではどんな違いが見られるでしょう。

ちょっと怖くて、ちょっと楽しみです。

 

後日。

基本的に仕事の話ばかりのジェーンとのチャットで突然

「最近、ひかるは元気?」とのメッセージが。

「元気よ、でも雨が多くてちょっとうんざり」

「こっちは太陽にうんざり!笑

じゃあ、ひかるがこっち来て、私が日本に行くわ」

「それもいいわね、私もケニアに行きたい~」

「あはは 

でも、本当に早く戻ってきてほしい」

「うん、なるべく早く行けるようにがんばるね」

「うん、では良い一日を」

「良い一日を」

 

この日はちょっと優しく聞こえる機械音。

こんなほのぼのした会話ができるのも、

スマホでつながる醍醐味です。

 

※前回予告していた日本の革職人さんのお話は、また次回更新します!

秩父織り修行 ~太織の里を訪ねて~

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先週の木曜日のこと。

朝日が昇って間もない時間に電車に乗り、埼玉県の秩父市に向かいました。

目指すは秩父にある織り工房「Handweaver Magnetic Pole」。

1泊2日の織り修行の始まりです。

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自称「霧女」な私の名に恥じぬ、濃くて深~い霧の降りた秩父駅では、

織り職人の南 麻耶さんが迎えに来てくれていました。

南さんは、2014年にボランティアとしてケニアの工房に2ヶ月間来てくださり、

今のサイザル織りの基礎を作ってくれた女性です。

(その当時のお話については過去記事を御覧ください!)

 

ケニアのボランティア後は単身でスウェーデンに渡って勉強され、

現在は秩父スウェーデン秩父織りの融合に取り組んでいらっしゃいます。

いつも織りで悩むと南さんに連絡しアドバイスを頂いているのですが、

今回の相談事についてはどうしても自分の目、手、そして体で覚えたく、

無理を言って秩父まで押しかけてしまいました。

 

せっかくの時間を無駄にしてはいけないので早速工房で。

Handweaver Magnetic Poleは直訳すると「織り手」「磁極」。

創設者の北村久美子さんと南さんのお名前からつけられたそうですが、

何ともセンスが良い工房名ですよね!

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このかわいらしい茶色い建物の中では、想像を絶する職人技が行われています。

北村さんは太織(ふとり)という秩父の伝統織り物のスペシャリストで

なんと、繭玉(教科書に出てくる、カイコのあの繭玉です!)から糸を引き、

それを草木染めを用いて色を付け、糊付けし、織っていくという

半素人な私はのけぞってしまうような工程をこなしていらっしゃいます。

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(織り職人のお二人。右が北村さん、左が南さんです)

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(北村さんが紡いだ美しい絹糸は漂白していないのに純白で柔らかい!)

ケニアで織りなんて大変でしょう・・・」とお客様によく同情されるのですが、

国内のものづくりの奥の深さとこだわりには、本当に頭が上がりません。


もっともっと語りたいのですが、ご本人たちの言葉の方がよっぽど分かりやすいと思うので、是非Handweaver Magnetic Poleさんのブログもご覧ください!

ameblo.jp

 

さて、北村さんと南さんの素敵な工房にお邪魔したのは、

残念ながら太織について学ぶためではなく

完全なる自分の都合です。

 

ケニアでサイザルを織るために織り機を開発し、

南さんや、染織家の箕輪直子さんなどたくさんの方のご協力のおかげで

製品と呼べる織り生地の作成にたどり着きましたが

歴史の浅いサイザル織りはまだまだ成長途中です。

 

今回の課題は効率よく、長く織ること。

毎日織り続ける中で織子さん達も色々と工夫を凝らし、

独自の方法を生み出していたのですが

気付いたら返って効率が悪く、織りにくい手法になってしまっていました。

しかも一度に織れるのは最高で1.5メートル。

 

毎日、織り機に糸を通すのは大変な作業です。

糸を通して設定する作業だけで、3時間近くかかり、

工程によっては4人の手が必要になってしまいます。

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この作業の回数を減らし、その代わりに織りに集中することができれば

織子さん達にとっても、加工する人にとっても、楽になり

更に糸のロスも防ぐことができる!

 

6メートルや10メートルの織り生地を織るのが夢でなくなる・・・

立ち上げ当初の織りを知っている私にとってそれはとても大きな意味を持つ、

大切なステップで、とにかく教わることを全部見逃さず、

五感全部で覚えようと必死に二人の先生の動きを追いました。

 

はい、では論より証拠!

「観光に行ったんじゃないの~?」と疑っている声が

今にも聞こえそうなので 笑

教わっている光景を少しだけお見せします。

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(必要な経糸を図るための整経と呼ばれる作業)

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(織り機に糸を巻いていくための準備中です)

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期間中に3メートルの織り生地も織っちゃいました!

これをケニアに持って行って、「3メートルも4メートルも夢じゃないんだよ!」と

皆に証明してきたいと思います。

 

ね?ちゃんと勉強してきたでしょ?

とちょっと自慢したくなっちゃいますが

これがケニアの工房でできなければ成果がないので

次に行くときにこの技術をどう伝えるか、現在レッスンプランを作成中です。

ケニアでのレッスンがどう進むか・・・

そのときが来たら、またご報告しますね!

 

最後になりましたが、

本日ご紹介したHandweaver Magnetic Poleさんの製品を

実際に見てみたい!という関東在住の皆さまに朗報です。

11月23日~25日まで浅草橋のヒューリックビルのイベントに参加されるそうです。

イベント詳細は下記リンクよりご確認いただけます:

www.kanto-kogei.com

 

さて、千葉に戻ってきた私を待ち受けていたのは、個性あふれる革職人巡り・・・

その様子は、また次回!