サイザルバッグがつなぐ、日本とケニアのママたちへの感謝。
「キャー!イエース!!フー!」
甲高い喜びの叫びと大きな拍手が響いた6月のとある日。
マチャコスの中心街から乗り合いバスで約1時間半。
注意していないと降車場所を通り過ぎてしまうくらい静かなその場所は、建物やお店も周りになく、マチャコスの山の連なりを見渡せる小さなスペース。
私たちのサイザルバッグの製作をしている女性たち、カタンギグループの作業場です。
先月の5月、アンバーアワーでは母の日の感謝として、サイザルバッグをお買い上げいただくと、ケニアのママたちに石鹸をプレゼントをするキャンペーンを行っていました。
おかげさまでご好評いただき、たくさんのお客様がサイザルバッグをお買い求めくださいました。この場を借りまして感謝申し上げます。
冒頭の歓声は、このカタンギグループのケニアンママたちに石鹸を届けたときの、幸せの響きだったわけです。
サイザルバッグ織りは、マチャコス地域の伝統手工芸ですが、手間と時間かかかり、また昨今では中国や中東からの安価なバッグの流通で、ケニア国内では需要がめっきり減ってしまいました。
その波を受けて、バッグづくりで生計を立てられる人たちも減り、比例して伝統工芸の担い手も少なくなっていきました。
アンバーアワーでは、いくつかの女性グループに製作をお願いしていますが、その中でも、安定した質と量を提供してくれるこのカタンギグループ。ケニア伝統布のカンガを腰に巻いてバッグを織り上げていきます。じっと見ていても飽きない、地道だけど心浮き立つ風景。
みなさまのお手元にあるアンバーアワーのサイザルバッグ(あれ、持っていない? ではこちらに!)は、彼女たちとアンバーアワーとのコラボレーションです。
今日はサイザルバッグ製作の裏側を少しお話しましょう。
アンバーアワーオリジナルのデザインは、日本から発注され、受け取ったケニア側でデザインと色を確認。
抜群に絵の上手な工房スタッフのマウロにより、オーダーはスケッチとなって、グループに正確なデザインイメージを伝えます。
グループにはバスケットに必要な素材を調達してもらい、準備ができたところで染色。
サイザルを染めるにはさまざまな色が必要ですが、染料の種類はある程度決まっています。そのため私は苦手だった美術の授業を思い出し、何を混ぜれば何色になる?と、マウロと二人で実験しながら色を近づけていき、できた頃には手は虹色。こうして二人で色のコンビネーションを学びながら、コントロールをしていきます。
(3点を石で支える、その名も「スリーストーン」方式)
染色は静かなカタンギの作業場ですが、ここでは効率性が勝負。
ロバに運んでもらった水を、スリーストーン方式と呼ばれる昔ながらの火の起こし方で沸かします。お湯が熱いうちに色を定めないと、サイザルがきれいに染まらないため、染料とお湯の量を加減しながら濃淡をすばやくコントロールするのですが、これがなかなか難しい。
「もう少し赤を足してみようか。」
マウロはスプーンで赤い染料をすくい、混ぜていきます。
あ、すでにいろいろな色をかき混ぜていたスプーンで染料をすくっちゃダメよ!
染料の色が変わっちゃ…
ね…。変わっちゃったでしょ…。
このようなアクシデントを何回か繰り返しながら、やっと色が安定。
1日で数色を染めるのも、なかなかタフな作業になります。
数週間後。
あの色がこんなバッグに!
想像よりも色が落ち着いたり、デザインによってぐっと引き立てられたり。
クマを描いたらブタになるような私の美術レベルも時には役に立つものだと、胸をなでおろす瞬間です。
お買い求めいただいたサイザルバッグは、どんなママたちが使っているのかな。
そんな思いを抱きながら、グループに届けた石鹸も、ずっとサイザルを触りながら作業を進めるケニアンママたちの手を清潔に保つため、きっと大活躍することでしょう。
みなさまへの感謝と共に、これからもケニアのママたちや、工房スタッフ、それにたくさんの協力者のみなと、日本にアンバーアワー製品を届けられるよう製品づくりを続けてまいります。
(生産担当:マリナ)