ケニアの草木染め事情⑧~変わる色、媒染とは編~
草木染めでは、植物を煮た時に出る染液にサイザル麻をつけて染め上げます。
基本的にはその時の染液の色が繊維に着色されます。
しかし、時には色が薄かったり、付着しなかったりという場合もあります。
そこで行うのが、「媒染」という作業です。
植物の色素に鉄・アルミニウム・銅などの金属のイオンが結びつくと、なんと色素が鮮やかに発色されるのです。
また金属イオンを含む液につけることで、繊維に絡みついた色素が、繊維としっかりと結びつきます。
これまでの実験から、サイザル麻はコットンやシルクなどに比べ色が付着しにくいことがわかりました。
なので、媒染に挑戦することで新たな可能性を探っています。
今回ご紹介するのは、「鉄」を使った媒染です。
日本ではミョウバンなどが媒染液として用いられますが、ケニアではなかなかそういった物は手に入りません。
インターネットで調べてところ、なんと鉄なら作り出せることが判明。
そこで鉄を使った実験を行うことにしました。
鉄の媒染液を作る為には、まず錆びた鉄くぎを集めることから始めます。
ジュアカリと呼ばれる工房が集まっているエリアに行き、かき集めてきました。
もらった釘をお酢と水を混ぜた水溶液に入れ、1時間ほど煮ます。
なんと、これで完成です。
あとはボトルや小瓶に入れて1週間程度寝かしておきます。
すると少しドロっとした鉄の媒染液が出来上がるのです。
使い方も簡単です。
染色の終わったサイザルを鉄を溶かした水溶液に漬けるだけです。
では実験結果をご紹介します。
まず、現地語でムウークと呼ばれる木です。
この樹皮から黄色味がかった色を抽出しています。
この黄色は僕たちの製品に既に使われていますので、是非本文の下のリンクを見てみて下さい。
さてこの黄色のサイザルを今回の鉄液に漬けてみました。
そして待つこと約1時間。
その結果は、、、
見事に色が変化し、真っ黒な色を抽出することが出来ました。
お次は、現地語でダエと呼ばれる木の実に用いました。
普段は綺麗なラベンダー色が取れるんですが、、、
なんとも不思議なことに、ほんのり青色がかった色が抽出出来ました。
どちらもまさかの色に変化し、驚きですね。
草木染めは本当に奥が深いことを実感します。
今回の染色を通して僕の指先が真っ黒になりました。
汚く見えるかもしれませんが、個人的には職人らしくなったなぁっと一人で気に入っています(笑)
一般的に鉄を使うと暗い色になると言われています。
反対にミョウバンなどのアルミを使うと明るい色になるそうです。
今後も色々な可能性を試しながら、実験を続けていきます。
みなさまのコメント・アイデア等々、引き続き大募集中です!
僕がとても喜び&助かります(笑)
生産担当:横山
【本文でご紹介したリンク先!】
◆ジュアカリについて詳しくはこちら↓↓
◆既に製品にも使われている黄色や茶色はこちらで確認できます!