ケニアのおばあちゃんの知恵袋!~伝統技術から草木染めまで~
今回も前回に引き続き、ブックカバーのサイザル麻の織り糸を撚ってくれている女性グループ をご紹介します。
今回ご紹介するのは、工房のあるマチャコスから車で約30分、山奥の村で暮らしている女性たちです。
グループメンバーがほとんどがご高齢のおばあちゃんたちです。
しかし、足腰がとても元気で、若々しく山道を登り下りしながらやってきます。
他の女性グループと比べ、ここのおばあちゃんたちの凄いところを2つご紹介。
1つは『高い技術力』を誇ることです。
そう、サイザル麻の織糸の品質がぴか一なんです。
非常に細くて、しっかりした織り糸を撚ることが出来ます。
昨年のベストメイカーにも1名ここのグループから受賞しました。
カンガをプレゼントした時は、お返しにダンスを披露してくれました。
もちろん彼女以外もみんな技術力が高いです。
全員モチベーションが高く、毎月たくさんの量を作ってくれます。
細いサイズを作ろうと取り組み始めた当初、多くの女性グループは細いサイズを作ることはできませんでした。
僕はまずは自分で覚えて、女性達をトレーニングしようと考えました。
しかし、僕にはそんな技術はありません。
そんな時、彼女たちは僕に撚り方を丁寧に教えてくれたので、僕はその技術を学ぶことができました。
彼女たちの凄いところ、もう1つは『知識量』です。
当初、彼女たちのもとを訪れた僕に見せてくれたサイザル糸は鮮やかなカラフルなものでした。
黄色やピンク、や紫など全て初めて見るような色ばかり。
聞くと全て草木染めで染めたとのこと。
他の地域では使われていない草木を使った草木染めを、彼女たちは伝統に行ってきていました 。
草木染めで困ったことがあったら僕はよく彼女たちに教えてもらっています。
同時に草木に対しての知識もたくさん持っています。
探している草木の名前を伝えたり、写真を見せたりをすると、大概の物はわかります。
かつてチュービの正体を探し求めていた時も、助けてくれたのは彼女たちでした。
先月僕は赤味のある茶色が取れると噂の現地語で「ムゼウ」と木を探していました。
このことを彼女たちに伝えると、あるおばあちゃんが遠くを指さしました。
僕にはまったくわかりませんでしたが、どうやらここから少し登った所にムゼウがあるそう。
すると、行こう!っとおばあちゃんはさっとナイフを手に持ち、山を登り始めました。
人の家の庭やグネグネした山道を通りながら目的地に辿り着くと、おばあちゃんは思いっきりナイフを振りおろし、ムゼウの木の一部を切ってくれました。
山を降りる時、彼女は自分の畑でサトウキビを一本切って、お土産にくれました。
豪快なお土産でしたが、工房のみんなでおいしくいただきました。
この様に彼女たちは困った時に、長い間蓄積された技術力と知識量で僕たちを助けてくれます。
彼女たちの知恵袋は、ケニアに住む僕にとってはYahoo!知恵袋以上に必要な情報が詰まってい るのです。
どこの国でもおばあちゃんの知恵袋は無敵です。
(生産担当:横山)
【織り糸作成女性グループ紹介シリーズ~過去ログ~】