1本1本紡ぐ糸。~サイザル麻がひも状になるまで~
こんにちは、工房担当の横山です。
さて以前サイザル麻は、
この様な形であることを紹介しました。
詳しくはこちら↓↓
この一見不思議な植物から
バスケットやマットを作る為には、
まず中から繊維を取り出し、
ひも状にしなければいけません。
今回はこの"ひも作り"の工程に、
焦点を当てたいと思います。
実はこの工程も機械を使うことなく、
全て手作業で行われています。
まずは大きくて堅い、
葉っぱの部分を切り取ります。
そしてナイフで薄く裂いていくと、
中から細い繊維の塊が出てきます。
この作業はまさに職人技で、
上手な人は一瞬で表面を剥いで行きます。
中には真っ白い繊維が、
ぎっしりと詰まっています。
あとはこれを1本1本紡いで、
長いひもにしていきます。
ひもを撚るときはほとんどの場合、
彼女たちは太ももを使っています。
数本の繊維が1本の細い糸になり、
それを2本絡めてようやく1本の素材になります。
ペースはとても速いのですが、
太ももを使っているため、
あまり長い間作り続けることは難しいそうです。
太ももにこだわることは、
やはり長年培ってきた、
肌感覚というものがあるのでしょうか。
さてこのサイザルひもなんですが、
実は試用用途によって太さが様々です。
バスケットには基本的に、
2種類のひもが使われています。
縦糸に使われるのが、
短いけれど太くて強い
『Nyenze』と呼ばれるひもを使います。
横糸に使われるのが、
細くて長さは60mにもなる
『Kilinga』と呼ばれるひもを使います。
(左がNyenze,右がKilinga)
一方マットやブックカバーには、
Kilingaよりももっと細い糸を使います。
こちらは独自に3種類の太さを基準として
サンプル表を作っています。
これを見ながら、
地方に住むおばちゃんたちが
日々ひもを撚っています。
バスケット作りだけでなく、
素材を作ってくれる協力グループも
工房の周りにたくさんいます。
この様なあまり注目されることのない
サイザルの素材本来の部分にも、
こだわりを持って取り組んでいます。
横山