ケニアの草木染め事情④~実験編~
今回の草木染めシリーズは実験編です。
草木染めの素人の私たちにとって、とにかく必要なのは経験です。
それぞれの木からいったいどんな色が染まるのか。
染色担当スタッフのマウロと共に様々な実験を行いました。
今回はその様子をお届けします。
始めに染料の量とサイザル素材の量の割合を確認する実験をしました。
どれくらいの染料でどれだけのサイザル素材を染めることができるのか把握する為です。
ある程度の目安が出来たら、その比率は保ったまま、次は煮る時間を変えます。
時間の長さは3パターン設定しました。
また1番液、2番液、3番液でも同様の実験を行いました。
このようにすることで、1つの染料から9種類の色合いを確認することができます。
これを5種類の木を使って実験しました。
その結果、全部で45種類の色合いを確認しました。
次に2つの染料を混ぜてみたり、ソーダ灰を入れて色の反応をみたりと様々な実験も行いました。
草木染めで難しいのは、木の種類によって反応が様々だといういうことです。
もっとも苦労したのが部族語でムトーと呼ばれる木です。
この木はただ煮ただけでは色が出ませんでした。
苛性ソーダの割合を調整し、ようやくこげ茶の取得に成功しました。
実験が終わると、過程と結果をシートに記入していきます。
必要事項を記入し、実際に染めたサンプルを貼り付けます。
ただサンプルが厚みがあったので、全てを貼りつけていったら、こんなに冊子が分厚くなってしまいました。
化学染料と比べ、草木染めの天然染料は自然が相手です。
天然染料は色素の含有量が一定せず、また複数の色素を持つ場合も多々あります。
その為、同じ温度、同じ素材、同じ分量で染め上げたとしても、同じ色に染まることはありません。
世の中に2つとして同じ色がないのが、草木染めの魅力の1つだと思います。
ただきちんと商品としてお届けする以上は、やはりある一定基準の色の安定が求められます。
数字だけで判断が難しいこの世界は、まさに職人さんの域だと思います。
以前NHKのプロフェッショナルという番組で人間国宝草木染め染織家・志村ふくみさんの取り組みを拝見しました。
まさに自然との対話、草木染めの奥深さに非常に感動をしました。
今回の実験もそこから得たデータも最終的には経験値を積むということを1番の目的としています。
私とマウロも草木染めの職人を目指し、これからも染め続けたいと思います。
さて草木染めシリーズのシーズン1は今回でいったん終了します。
次回からはサイザル素材についてお届けしたいと思います。
お楽しみに。
横山