ケニア工房、助っ人参上!
ケニア工房立ち上げから参加してきた横山くんが帰国し、一人運営を想像しただけで倒れそうな自分がいることを自覚し、工房の現状を、運営側に立って一緒に考えて話し合っていけるような、右腕的な仲間がほしく、誰かいないかと探していました。
あ、いた。
マステキ。
私のブログを読んだことがある方は、「あー、あの人ね」と思ったかもしれません。
そう、あの人です。
マステキとは、彼がスーパーの配達用トゥクトゥク(三輪自動車)のドライバーとして働いていた頃に知り合いました。
重い物を運ぶときにはすぐに駆けつけてくれたり、段ボールがほしいからスーパーに連れていってほしいと頼むと、10分後には適度なサイズを手配して工房まで運んできてくれ、私のスーパーのお客様カードが古いのを見つけては、さっと番号を控えて新しいものを即発行してくれるなど、その早くてしなやかで機転のきく仕事ぶりにいつも感心していました。
そんな彼がスーパーの専属ドライバーから、街のトゥクトゥクドライバーへと転職をして1か月。タダ乗りでいろいろなところへ連れていってもらい、マチャコスで気軽に話せる人もいない中、いつしか何でも相談できる友人となりました。
マステキが工房に来たら、仕事もスムースに進んで、課題も一緒に考えられそうだなあ。
ねえ、マステキ、どう?
早速ヘッドハンティング。
突然の誘いに、彼は少し驚いた様子でした。
「マリナが大変なことは知っている。でも僕は高校までしか行っていないし、サイザルの知識もないし、期待される働きができなかったら君に負担をかけてしまうよ。」
う~ん、その謙虚さがたまらんのよ。
私はますます彼の誠実で正直な姿勢に惚れ、一歩食い込んでお願いをしました。
とはいえ、彼がトゥクトゥクドライバーとして稼ぐ日給に対し、私たちが支払えるのは約半分。工房で働けば彼の収入が下がるため、無理は言えません。
1か月だけでもいい、できるまででいい。返事をくれたらうれしいと伝え、決断を委ねました。
週末、愛車のブルーのトゥクトゥクで工房にやってきたマステキ。
「お金は何とかする。君が下を向いてトボトボと歩いている姿を見ている方が苦しいよ。週2回なら何とかできるから。」
若干24歳。小さい子どももいる彼に無理をさせてはいけないし、私が常々相談してきたことで断れない環境を作ってしまったのではないかと心配になりました。
「そんなことないよ。力になりたいと思うのは、君が僕たちケニア人と対等に接してくれるからだよ。だから僕も君が外国人だから特別だとも思っていない。人と人として感謝とリスペクトがあるからだよ。」
私はその場で泣きそうになりました。
人と接する、特に外国人としてケニアで仕事をするという状況において、一番大切にしてきたことを彼が感じ取っていたこと、そして私が私として生きてきたことを、きちんと受けとめてくれる人がいる、それだけで、気持ちが豊かになりました。
工房出勤初日。
勘所を押さえた仕事っぷりと持ち前の人懐っこさで、スタッフともすぐに打ち解けていました。工房の課題は分かっていても、新入りの自分が出しゃばっては空気を壊すと、いい塩梅で押したり引いたりする様子に、180㎝を超える身長のごとく、大物になる予感がしました。
終業後、「帰ったら読んでね」と渡された彼のノート。
夕食を食べながら開くと、今日学んだことがレポートになっていました。
すごーい!
感動で思わず叫び、すぐさまメッセージを送ると、「僕も君からいろんなことを学べて感謝しているんだ」と。
マステキったら…、マ、ステキ…♪
週2回、無理だと判断したら辞めるという前提とはいえ、強力な助っ人が入り、孤軍奮闘だった私の悩みも少し解消される…ような気がします。
友人としても、同僚としても、持つべきものは仲間。
出会いに感謝し、前に進んでいこうと気持ちを新たにしました。
(生産担当:マリナ)