素材に対するこだわり~ケニアの女性たちと共に歩んできた道のり~





1か月に渡り、僕たちの織り糸を撚ってくれる女性グループを紹介してきました。

最後となる今回は、僕たちの織り糸作成に対するこだわりをご紹介しようと思います。

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以前にも書きましたが、僕たちが使っている織り糸は一般的にサイザル麻で撚られる糸より6分の1くらいの細さになります。

この様な細い織り糸を作ったことのある女性はほとんどいませんでした。

僕たちはグループに1人ないし2人いる女性に先生役をお願いし、細い織り糸作成に挑戦してきました。

 

もちろん太さは大事ですが、それ以外にもたくさんのチェックポイントを設けています。

たとえば撚りの強さ。

織り糸は二本のサイザル紐をより合わせて作ります。
その時の撚りの強さがブックカバーになった時に影響をしていきます。

 

また糸の均一性も大事です。

30㎝ほどのサイザル麻を繋ぎ合わせているので、繋ぎ目で太さが変わってしまうことがあります。

とても高い技術が要求されますが、とても重要なポイントです。

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これらのチェックポイントを女性たちに説明するのが、ケニア人スタッフのケントンです。

この織り糸作成から品質向上の取り組みまで、最初から僕と共に携わってくれています。

彼はおしゃべり好きでケニア工房のリーダー的存在です。

現場ではいつも女性達を口説き落とすかの様なマシンガントークを繰り広げています。

ただその激しい勢いの余り、うっかりミスが多いのがたまに傷ですが。。。

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彼は現地語で彼女たちに僕らの織り糸対する考えや作成のコツを伝えています。

 

織り機で織った時に、どのような織り糸なら良いのか。

なぜ僕らが細いサイズにこだわっているのか。

 

時にはよい織り糸のサンプルを見せながら、時には写真を見せながら説明します。

いつしか女性たちは彼のことを「ムワリム!(先生!)」と呼ぶようになりました。

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そして彼女たちもたくさんの質問を僕たちに浴びせてきます。

その質問1つ1つに丁寧に答えていきます。

時にはその議論が白熱し、時間が2時間を超えることもあります。

 

しかし、僕らと女性たちが会うのは月に1回です。
毎日コミュニケーションをとれるわけではないので、ミーティングに訪れた日は長い時間を割いてでも、こちら側の想いと女性たちの想いを摺り合わせていきます。

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織り糸は彼女たちの手と太ももを使って撚られています。
つまり、完全なる手作業です。

 

品質の高い織り糸を作ることがどれだけ難しいことかはわかっています。

しかし、例え細かいと言われても、問題だと感じた部分は指摘していきます。

時には買取をお断りするケースもあります。

厳しいかと思われるかもしれませんが、そこで妥協することはできません。

 

でもそんな僕たちの想いに応えようと、女性たちも毎月頑張って織り糸を作ってくれます。

数か月に渡って毎月訪問し、議論しあったことでよい関係性が育まれて来たからです。

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これからも多くの地域の女性達を巻き込んでいきたいと思っています。

地方に暮らす彼女たちにとって貴重な収入の機会をもっと作っていきたいのです。

 

少しずつ軌道に乗り始めた織り糸作成ですが、まだまだ課題の多いのが現状です。

僕たちだけでは解決できないことも、僕たちには130名もの撚り子さんたちがついています。

彼女たちと共に試行錯誤を繰り返しながら、これからも前に進んでいきたいと思っています。

 

(生産担当:横山)